Firefox 157が公開、UIを刷新し脆弱性76件を修正

Firefox 157が公開、UIを刷新し脆弱性76件を修正 ニュース

Mozillaは2026年9月29日、Webブラウザ「Firefox 157」を公開しました。Mozillaがリリースノートで「ここ数年で最大」と説明する見た目の刷新に加え、セキュリティ上の問題76件を修正しています(うち38件が重要度「High」)。10月6日(米国時間)には、不具合3件と脆弱性1件を修正する157.0.1も出ています。Web制作・開発者が、ユーザー向けの変更、開発者向けの変更、更新の優先度をどう見るかを整理します。

ニュースの概要

Firefox 157のリリースノートによると、2026年9月29日にリリースチャンネルの利用者へ最初に提供されました。主な内容は、ツールバー・サイドバー・メニューなどを一新する見た目の刷新、ライトとダークの組み込みテーマ、ツールバーとタブの間隔を詰める「コンパクトモード」の追加です。

何が変わるのか

ユーザー向けの変更

  • 見た目の刷新:ツールバー、サイドバー、メニュー、各機能が新しいデザインになった。組み込みのライト・ダークのテーマと、コンパクトモードが加わった。
  • サイドバー:新しいサイドバーが全員に有効になり、「サイドバーを表示」の設定が削除された。従来のサイドバーには、about:config の sidebar.revamp を false にすることで2027年末まで戻せる(縦型タブも無効になる)。
  • Webページの部品:alert() などのダイアログ、色・日付の選択画面、オートコンプリートの候補が、ページのライト・ダークの配色に従う。
  • キー操作:Tabキーで、アドレスバーの入力欄に直接フォーカスが移る。
  • 検索:Amazonが組み込みの検索エンジンから外れ、カスタム検索として追加できる。Firefox Suggestが欧州の16か国で追加された。
  • WebRTC:対応する機器で、ハードウェアによるAV1のデコードが使える。
  • 暗号鍵のログ:TLSの暗号鍵をログに記録する設定のときに、サイト情報と設定画面に警告が出る。

Web開発者向けの変更

MDNの開発者向けリリースノートによると、主な追加は次のとおりです。

  • CSS:@supports での at-rule()(例:@supports at-rule(@scope))、overscroll-behavior の chain 値。
  • WebGPU:描画パス内だけで使う添付用の TRANSIENT_ATTACHMENT。
  • Web Animations:playbackRate が0のときの Animation.reverse() の動作、スクロール駆動のアニメーションでの playbackRate の正負の切り替えの扱い。
  • アドオン開発者向け:alarms.clearAll() が、真偽値ではなく undefined で解決される。
  • JavaScript:目立った変更はなし。

実験的な機能(初期設定は無効)として、通知の navigate オプション、解析中にHTMLをサニタイズするHTML Sanitizer API、Web CryptoでのML-KEMの鍵カプセル化などがあります。これらは about:config で有効にする必要があり、本番のサイトで使える前提ではありません。

セキュリティ修正

MozillaのセキュリティアドバイザリMFSA 2026-97(2026年9月29日付)によると、Firefox 157で修正された問題は76件のCVEで、全体の重要度は「High」です。内訳は、Critical 0件、High 38件、Moderate 29件、Low 9件です。アドバイザリには、メモリ関連の問題(解放後使用など)が多く、サンドボックスからの脱出に関する項目が15件、権限昇格に関する項目、JavaScriptエンジンのJITコンパイラの誤りに関する項目が含まれています。また、Mozillaは、メモリ安全性の問題を1つのCVEにまとめず、1件ずつアドバイザリを出す方式にしていると、アドバイザリに明記されています。そのため、件数が多く見える点には注意が必要です。

10月6日(米国時間)の157.0.1は、小さな更新で、次の修正が含まれると窓の杜が報じています。

  • macOSで、「ダウンロードごとに保存先を確認する」設定のときに、ダウンロードフォルダーにアクセスできないとダウンロードが失敗する問題
  • サイドバーが、ブックマークやAIチャットのパネルから切り替わらない場合がある問題
  • Windowsの初回設定で、「バックアップから復元」の選択肢が出ない問題
  • File Handlingの保護の回避に関する脆弱性(CVE-2026-106016、Mozillaの評価は「Moderate」)

読者への影響

Webサイトの制作者にとっては、ブラウザが出す標準の部品(alert() などのダイアログ、色・日付の選択画面、オートコンプリートの候補)が、ページのライト・ダークの配色に合わせて表示されるようになった点が、確認ポイントになります。ブラウザに任せていた部品の見え方が変わるため、color-scheme などで配色を切り替えているサイトでは、表示を確かめておくと安心です(color-scheme との関係は、リリースノートには書かれていない筆者の推測です)。

利用者側は、セキュリティ修正が多い更新なので、早めに最新版にするのが基本です。会社でESR(延長サポート版)を使っている場合は、対応するESRの更新があるかを、Mozillaのアドバイザリで確認してください。

確認すること

  1. Firefoxを157.0.1以降に更新する。ESRを使う組織は、対応するESRのバージョンになっているかを確認する。
  2. 自社サイトを新しいFirefoxで開き、フォーム、ダイアログ、日付・色の選択、ダークモードの表示を確認する。
  3. サイドバーを従来の見た目に戻す必要があるときは、sidebar.revamp の設定を使う(2027年末までの暫定措置とされている)。
  4. CSSの @supports at-rule() や overscroll-behavior: chain を使うときは、他のブラウザの対応状況も確認して、フォールバックを用意する。
  5. 社内でブラウザの更新を管理している場合は、更新の手順と、ESRと通常版のどちらを使うかの方針を見直す。ブラウザの仕組みの基本はWebサイトが表示される仕組みで整理しています。

筆者の見解

私見では、今回の76件は、件数だけで深刻さを比べないほうがよいと考えます。Mozillaがメモリ安全性の問題を1件ずつCVEにする方式に変えたため、以前の版と件数を並べると、数字が大きく見えやすいからです。更新の優先度は、件数ではなく、サンドボックスからの脱出(15件)のように、他の問題と組み合わさると被害が大きくなる項目があるかどうかで判断するのが実務的だと考えます。制作側で見落としやすいのは、見た目の刷新よりも、alert() や日付・色の選択画面がページの配色に合わせるようになった点で、ブラウザに任せていた部品の見え方が、サイトのデザインと関係なく変わることがあります。フォームの多いサイトでは、ライトとダークの両方で、標準の部品を一度ずつ開いて確認しておくことをおすすめします。

出典(一次情報)

2026年10月9日時点の情報です。

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