©キリン
電車の中吊り広告を見ていて驚いたんですが、キリン一番搾り「取手づくり」なんてものが発売されていたんですね。取手出身の私としては思わず購入したくなる商品です(ただ、自宅(足立区)のスーパーでは置いていない模様・・・)。
こういった地域限定発売商品ってどういったマーケティング戦略があって販売されているかご存知ですか?
一般的に限定商品、限定版というと既存ファンの売上拡大の為のものですよね。例えば、CDアルバムの限定版、ゲームソフトの限定版は既存ファンのコレクターアイテム的な側面が強いわけです。
ビールを限定生産してもそれ自体は利益にならない。では、何故売るのか?
しかし、世の中に広く浸透している飲料・食料品においての限定商品は全く別の理由で販売されていると考えられます。飲料・食料品の限定商品はCDやゲームソフトと違い、通常版と価格帯はほぼ変わらないんですよね。そして、生産数は限定されていています。それなの生産ラインを新設し、専用ラベルを作らなければならないんですよね。つまり、限定商品を販売してもほとんど利益にならない可能性が高いのです。
では何故利益にならない限定商品を販売するのか?
それはおそらくリピーター獲得の為だと考えられます。
たった1本のビールをきっかけに2,920,000円を生み出す
私は普段ビールを買って飲む事は無いんですが、この「取手づくり」を見て「飲んでみたい!」と思ったわけです。近くで売っていたら間違いなく買ったはずです。この一本を飲んで「一番搾りって旨いな」と思えば毎日のように購入する事になるかもしれないんですよね。
200円ちょっとの限定商品をきっかけに40年間毎日をビールを飲むようになれば、
200円×365日×40年=2,920,000円
これだけの利益に結びつく可能性があるんですよね。ちょっと良い車1台分です。
たった一人だけでも熱心なファンが獲得できればこれだけの顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)を得られるわけですから、飲料業界って物凄い金脈ですよね。
目先だけではなく、長期的な目線で利益を考えることが、安定的なビジネスには必要不可欠だと痛感させられる事例だと思いました。そして、この根幹にあるのが顧客満足度です。顧客満足度が低ければリピーターは付きませんからね。
投資すべきは何よりも「顧客獲得」である
株よりも土地よりも投資価値のあるのは顧客獲得だと、マーケティング界の最高権威ダン・ケネディも言ってます。それと正反対なのが音楽業界やゲーム業界。これら業界は商売方法が露骨に金の匂いを漂わせているので顧客を失い業界が衰退していかないか心配です。今いる顧客から金銭をあるだけ絞り取ろうしてるようにしか思えないんですよね。
ダン・ケネディのマーケティング本は今なら無料(送料のみかかります)で入手出来るので興味がある方はぜひ読んでみてください。
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